大晦日前日。父親は朝から家を掃除している。えらい。
母親はスイートポテトをつくっていた。
我ら子ども3人はだらだらと昼間まで漫然と過ごしている。
お前らな、もっとな、家庭のことに貢献せい!
お昼ごはんを食べて、上の妹はアルバイトに出かけていった。前に帰省したときはあれほどやめたいと言っていたのに、今はシフトにあまり入れてもらえないと不平を漏らしていた。バイトなんて慣れてしまえば、そして仕事内容がそれほどハードでなければ、やめたいと思うことが少なくなっていくものだ。自分は毎回やめたいと思った次の月にはやめてしまっていて、ある時に辞めるタイミングを逃してバイトをだらだらと続けたことがきっかけでその事に気がついた。それを初回で気付くとは、さすがは妹である。
その後、下の妹の申し出によりおばあちゃん家で麻雀をすることになった。どうしても父親を交えて対局したかったようだ。後ろのおばあちゃん家は母方なので気乗りしないかと思ったが、あっさりとその提案をのんだのが意外だった。父親はドンジャラをやったことがあるようなので、基本的な部分は普通に打てるようだ。
おばあちゃん家にはお母さんのお兄さんが済んでいるのだが、日中は家にいないのでおばあちゃん一人しかいない。本心は分からないが、誰かが来てくれたほうが嬉しいだろうという考えで、できるだけ帰省した際はおばあちゃん家に行くようにしている。おじいちゃんは、結構我が家まできて顔を見せてくれていたのだが(おばあちゃん家と我が家は庭を挟んで少し離れている)、おばあちゃんは鬱陶しいかもしれないとか気にしてあまり頻繁には来ない。(これもただの想像でしか無い)妹二人は腰がとてつもなく重いので、自らおばあちゃん家に訪問することはあまりない。おばあちゃんが淋しいという、これも勝手な妄想なので押し付けることは出来ないが、もう少しおばあちゃん家に訪問してもいいと思う。ただ、妹二人の気持ちも少し理解はできる。おばあちゃんには饗応という言葉がとても良く当てはまる。いつも訪問すると過剰と言っていいほどもてなしてくれる。それが申し訳ないとか、少し面倒くさいとかそういう気持ちがあるのかもしれない。という、ありきたりな問題である。
需要と供給がこんなにも合わないことがあるだろうか?
この解決策は2つあると思う。一つはこちらの需要を合わせに行くということだ。こちらの希望を伝えて合わせてもらうのも無礼ではないと思う。一番処理が大変なのは飲み物である。食べ物はせんべい系なら残すこともできるし、生ものでも手を付けずに持ち帰ることが可能である。しかし、飲み物は飲み干す必要があるし、飲み干しても無限に追加してくれる。この原因は、おばあちゃんが手持ち無沙汰でこちらになにかしてくれようとしているということである。よって、第二の解決策はおばあちゃんを手持ち無沙汰にさせないということである。というか、こっちのほうが断然良い解決策である。どうやら、おばあちゃんは自虐的、閉鎖的になってしまっている。体の不調や新しい情報へのハードルが上がっていて、明るくも負の方向の発言ばかりをしている。どうすれば対等に時間を共有することができるだろうか?・・おそらく、会話は最も手軽で、一緒に盛り上がることができるだろう。
とりあえず、今回は妹、父親、自分で麻雀をしながら、おばあちゃんをそのテーブルに呼んで会話するという作戦にした。麻雀を一緒にやる提案もしたのだが、いろいろな理由をつけて断られてしまった。確かに麻雀はすこしハードルが高いので、今度簡略化した麻雀を一緒にやろうと思った。
一つ見落としていたのは、おばあちゃんは座っていることが苦痛のようだ。こたつで麻雀をしていたのだが、キッチンの方に立ち上がって足の高い洋椅子に座りに行ってしまう。そして、そのついでに饗応の問いかけをしてくれる。「アイス食べる?」「コーヒーでいい?お茶もあるよ?」
飲み物だけほしいと返答。しばらくしてお菓子が入った器とアイスと飲み物を持ってきてくれた。
なんだかんだでアイスはおいしく食べる。少しすると、母親がやってきて四人で麻雀をすることになった。母親はおばあちゃんに話しかけてくれるので、一体感を生み出してくれてとても助かった。
しばらくその一体感のなかで麻雀を打っていると、おばあちゃんは缶の飲み物とシュークリーム、エクレア等を持ってきてくれた。おばあちゃんによると、抑えているつもりだがこういう品々を買ってしまうようだ。慣性の法則のようなものである。かごにある程度の重みがないと心配なのだろう。
麻雀は妹が全然テンパイ、上がることができずに不機嫌になっていった。性格で言うと、咲の片岡優希みたいな感じである。その後、おばあちゃんが出かけるようなので留守番することに。母親がそこについて行ったので元通り3人で麻雀をすることに。父親も全然テンパイしないので、流局ばかりが続いていた。手配を見せてもらって、リアクションをする。
しかし、麻雀というものは不思議で、牌をバラしてまた積み直すとワクワクとするものである。そのため、麻雀をうち続けて、あっという間に出かけていた二人が帰ってきてお開きとなった。
父親は洗濯物を取り込むという口実で自宅に帰っていった。片付けをしていると、お母さんのお姉さん、その息子と娘がやってきたので、(これでおばあちゃんが一人じゃなくなった)とそのタイミングで自宅に戻った。
妹二人は絵がうまい。帰省して一番やっていたのはお絵描きかもしれない。サンリオのキャラクターを描く練習をしていた。シナモンはシンプルなのに可愛くてすごいなーとか、サンリオの株買っとけば良かったなーとか、アンパンマンは皆描けるのにばいきんまんは描くの難しいなーとか、一年で一番ペンをホールドしていたかもしれない。お母さんも絵を描くのが好きなので、時折参戦してくれた。皆、腐すことなく、可愛い~と言うか、笑ってくれるのがノリの良いところである。
やっぱり、家族だからどうでもいいところの感性が合うんだろう。
さすがに、ここまでほんわかエピソードを書くと破廉恥かもしれない。家族に嫌われないように生きていきたい。親しき中にも、、で弁えながら。
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